CentOSの後継にはどのLinuxを使う?K’z Styleオススメディストリビューション3選

Linuxの話題
レベル: ★★★☆☆

おはようございます、K’z Style代表・宮崎です。

2020年12月、CentOS ProjectがCentOS Linux 8のサポートを2021年12月31日で終了し、CentOS 9はリリースしないという方針を出してきました。今後は「CentOS Stream」という今までのCentOSとは違う位置付けのディストリビューションになるようです。

数多くの企業や個人に利用されてきたCentOSが使えなくなり混乱する状況の中、「では今後どのLinuxディストリビューションを使えば良いのか?」という疑問について考えていきたいと思います。

CentOS以外のディストリビューションを検討する上での懸案点

CentOS以外の無償利用可能なディストリビューションとして最初に話題となったのが「AlmaLinux」「RockeyLinux」でした。ですがこれら2つは今後も継続してサポートを続けてくれるか現時点では確証がありません。
過去、RHELクローンとして最注目されてきた「White Box Enterprise Linux」は活動停止状態となり、多くのRHELクローン利用者が混乱したことがありました。今後「AlmaLinux」「RockeyLinux」も同じような経緯を辿らないという保証はないのです。これは他のRHELクローンディストリビューションにも言えることです。

CentOSから移行する選択肢判断基準

今回CentOSから移行するディストリビューションを選択する上で判断基準としたものは次の3点です。

無償利用可能なもの

OS自体有料で良いのであれば迷わずRHELをお勧めしますが、CentOSが選ばれたことの大きな1つがOS自体は「無料」だったことです。CentOSの後継を選ぶのであればやはり無料のものになってくるでしょう。

サポートがしっかりしているもの

上でも書きましたが、提供停止になる恐れが極力なく、遅滞なくセキュリティアップデートが提供されるものが大きな条件です。
また、そのディストリビューションを提供する団体が技術サポート(有償でも無償でも)も行うものであれば尚良しとします。

RHELの操作性を継承するもの

RedHat系ディストリビューションとDebian系ディストリビューションではコマンド体系や設定ファイルの場所等に違いがあるため操作性が異なります。RedHat系であるCentOSを扱ってきた方がDebian系を扱うとなると多少の学習コストがかかります。
CentOSからの移行を考えるとRHELクローンであるディストリビューションを選択するほうが学習コストの面から見ると有利でしょう。

K’z Styleがお勧めする後継ディストリビューション3選

候補:MIRACLE LINUX

無償のエンタープライズ Linux : MIRACLE LINUX
CentOS / RHEL® 互換 を維持しているライセンス無償化の国産エンタープライズLinux OS「MIRACLE LINUX」 。希望の企業向けには有償のサポートサービスをご用意。従来のCentOSの利便性を維持しながらMIRACL...

対象者:

  • RHELの操作性を求める方
  • 信頼性を重視する方

選定理由:

  • 長年の実績があるサイバートラスト株式会社(旧ミラクル・リナックス社)が責任を持って提供・メンテナンスしている(MIRACLE LINUX 8.4は最長12年のメンテナンス提供)
  • RHEL互換のため今までCentOSを使っていた方でも違和感がない
  • 日本の会社が提供しているので日本語でのサポートが期待できる

懸案点:

  • AlmaLinuxやRockeyLinuxと同様に、今後「無償提供を行わない」となる可能性が絶対ないとはいいきれないのが懸案点(上記2つに比べると可能性は低い?)。

一言:

企業向けLinuxディストリビューションとして2000年から活躍していたことに加え、やはり国産という強みが大きいことがオススメの理由。RHEL9クローンのMIRACLE LINUX 9 の無償提供も発表されました。会社自体がややごたごたしているのが不安材料か?

候補:Amazon Linux 2

Amazon Linux2

対象者:

  • AWS利用者
  • RHELの操作性を求める方

選定理由:

  • RHEL互換のため今までCentOSを使っていた方でも違和感がない(Amazon Linux2はRHEL7ベースと言われている)
  • アマゾン ウェブ サービス(AWS)にて提供・メンテナンスされているので信頼できる
    長期サポート(LTS)を受けることができ安心

懸案点:

  • AWS(またはオンプレミスの仮想マシン)でないと利用できない
  • メジャーバージョンアップが早い(Amazon Linux 2022リリース後2年ごとにメジャーバージョンリリース)

一言:

AWSで運用しているのであれば迷わずこれ一択。Amazon Linuix 2 はAWS用に最適化されているのでわざわざ他のディストリビューションを使う理由も見当たらないでしょう。

候補:Ubuntu Server

Homepage | Ubuntu Japanese Team

対象者:

  • RHELの操作性にこだわらない方
  • Ubuntuユーザの方
  • 長年の実績があるLinuxディストリビューションを望む方

選定理由:

  • 1990年代からという長年の実績がある「Debian GNU/Linux」を母体とした信頼できるディストリビューション
  • 「LTS」という長期サポート版を有する
  • 特定のベンダーではなくコミュニティーで長年運営されている(「Canonical(カノニカル)」という企業から支援されている)
  • Ubuntuデスクトップ版を扱い慣れている方であれば違和感なくサーバも操作できる

懸案点:

  • RHELクローンとはコマンドや設定ファイルの場所などが違うので、Debian, Ubuntuを扱ったことがない方は学習コストが(やや)発生する

一言:

コミュニティーの形態で長年運営されていること、GNUプロジェクト精神を尊重されているので企業のようにディストリビューションの提供中止や有償化の心配がないでしょう。

その他の選択肢

AlmaLinux、Rockey Linux

AimaLinux

Rockey Linux

巷でCentOSの後継といえばこの2つが挙げられます。OS自体は無償提供され、有料サポート体制も持っています。しかし2者共2022年にリリース予定のRHEL9への対応が不明です(2021年12月現在)。
まあ、日本にはMIRACLE LINUXがあるので、よほど毛嫌いしていない限りMIRACLE LINUXでいいんじゃないでしょうか?

Fedora CoreOS

The container optimized OS
A minimal OS with automatic updates. Scalable and secure.

Red Hatからリリースされている、Dockerなどのコンテナを稼働させる形態向けのディストリビューション。
コンテナ上でアプリケーションを動作させることに特化したOSなので、必要最小限のソフトウェア類のみ入っているディストリビューションです。コンテナのホストはできるだけ軽くしたいとお考えの方には最適なディストリビューションではないでしょうか?
OSのアップデートは自動的に実行される仕組みを持つのが良い点でもあり懸案点でもあります。
K’z Styleでもコンテナで動かしているサーバの一部は、このFedora CoreOSを採用しましたが今のところ問題なく稼働しています。

 

以上、CentOSに変わるおすすめLinuxディストリビューションをご紹介してきました。
CentOS 8 のサポート期限が2021年12月31日まで、CentOS 7も2024年6月末でサポートが終了します。その後はセキュリティ上の問題(脆弱性)が発生しても修正プログラムは提供されない状態となってしまいますので、早めに移行先を決めないといけませんね。
ちなみにK’z Styleは「MIRACLE LINUX」と「Fedora CoreOS」に切り替えました。

最後までおつきあいいただき、ありがとうございます。

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